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独学で特殊メイクを学んだってマジなの・・・?
アメリカの第90回アカデミー賞のメイクアップアーティスト部門で、日本人が受賞したとニュースが入りました。
今回、受賞が決まったのは『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で特殊メイクを担当した辻一弘さん。
辻一弘さんはエンターテイメントの本場で活躍し続けてきた特殊メイク・アーティスト。
今回の受賞までにどんな作品に携わってきたのか、どうやって特殊メイクを学んだのか、気になったので調べてみました。
辻一弘が携わった作品は?
【祝】辻一弘氏がオスカー受賞、日本人初のメイク・スタイリング賞https://t.co/f259QzGPtD
ゲイリー・オールドマン直々のオファーを受けて作品に参加した辻氏は、「ゲイリーさんのおかげです。すばらしい役者、友人です」と述べた。 pic.twitter.com/Xi1BsPf4iK
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2018年3月5日
スウィートルーム
辻一弘さんが最初に携わった作品とされるのは、邦画「スウィートルーム」。伊丹十三さんが制作総指揮を取り、監督を黒沢清さんがつとめたホラー映画です。

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辻さんはメイクアップディメンションズという特殊メイクの工房のスタッフとして参加していたようです。
この作品のSFX総指揮をつとめたのが、ハリウッドでSFXの神様と言われていたデイック・スミスさん。
辻一弘さんは後に単身渡米し、ディック・スミスさんに弟子入りすることになります。
メン・イン・ブラック
辻一弘さんが渡米してはじめて携わった作品。兄弟子のリック・ベイカーさんの工房で、主にメイクのデザインをしたとのこと。

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この作品でリック・ベイカーさんは第70回アカデミー賞最優秀メイクアップ賞を受賞しています。
猿の惑星
同じくリック・ベイカーさんの工房で携わった作品。

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2001年に発表されたティム・バートン監督の作品です。
グリンチ
2000年に発表されたジム・キャリーさん主演のコメディー。

scotta.jp
リック・ベイカーさんとともに、英国アカデミー賞メイクアップ&ヘアー賞を受賞!
もしも昨日が選べたら
2006年発表のファンタジーコメディー。

sonypictures.jp
第79回アカデミー賞メイクアップ賞にノミネートされるも、惜しくも受賞を逃す。
マッド・ファット・ワイフ
エディ・マーフィーさんが三役を演じたコメディー映画。

blog.goo.ne.jp/sora_tuki719
またしても受賞は逃しましたが、この作品で2年連続のアカデミー賞ノミネート。
アンディ・ウォホールの彫像
2011年に映画界から現代美術に転向。

matome.naver.jp/odai
サルバドール・ダリの彫像
迫力が凄すぎる!

plginrt-project.com
ウィンストン・チャーチル
2017年、ゲイリー・オールドマンさん主演の映画。辻一弘さんはゲイリー・オールドマンさんに請われて映画界に復帰。

headlines.yahoo.co.jp
本当に同一人物?という出来ですね。この作品で見事アカデミー賞を受賞。おめでとうございます!
辻一弘は独学で特殊メイクを学んだ?
辻一弘さんは英国アカデミー賞、米国アカデミー賞を受賞する華々しい経歴を持つことになったわけですが、特殊メイクを学んだのは独学だったそうです。
辻一弘さんが、特殊メイクを志したのは高校生の頃。手に入れた映画雑誌に掲載されていたハリウッドのSFXの巨匠ディック・スミスさんに手紙を送り、返事をもらいます。
「あなたのような仕事がしたい」というような内容だったのでしょう。しかし、ディック・スミスさんからの返事は「独学しかない」。
ディック・スミスさんの言葉を胸に、辻一弘さんは独学で特殊メイクを学び始めたそうです。
自分の顔で試したり、作品をディック・スミスさんに送ったり、辞典片手に洋書で学んだり。今のような便利なインターネットが無かった時代です。
素晴らしい情熱ですね。その後、ディック・スミスさんに弟子入りするきっかけを掴み、現在の活躍につながっていきます。
そして、高校生だった辻一弘さんの情熱は、今も衰えることとなく、海外で働く日本人として、こんなエールを送っておられます。
「日本人ならではの繊細さやこだわりの強さは武器になる」「一番重要なのは技術よりも内側の情熱の強さ」
特殊メイクを仕事にしたいという思いで、独学で勉強し、海外へ出るきっかけを掴んでいった辻一弘さん。
華々しい活躍の元になったものは「情熱」。お金や名誉ではない、心から湧き上がる情熱に突き動かされた人生を歩んでおられるのですね。
同じ日本人として、辻一弘さんのアカデミー賞受賞を嬉しく思うのとともに、辻さんの人生に触れ、身が引き締まる思いがしました。